患者と家族(3)
MA中嶋みどりです
今回は看護学生の時のお話です。
一番思い出深い実習。
それは看護学生3年生の選択実習。
どんな患者さんを受け持ちたいか希望を提出して担当させていただくという内容。
私は、
「患者さんとそのご家族の看護を勉強したい」
と希望を出しました。
そして、悪性の脳腫瘍のKさんを受け持たせていただきました。
Kさんは、病気の影響により、自分がなぜこの場にいるのかわからなくなったり、どうすれば看護師を呼べるのか(ナースコールを押すという行為)わからなかったり、
「仕事中にヘルメットをきちんと被らずに柱に頭をぶつけたから病気になったんだ」
と日に何十回も繰り返していたりと、Kさんご自身も辛い日々でしたが、面会に来ていた奥様も大変な毎日でした。
それでも奥様は、『お父さん(ご主人)にどうしてあげたらいいか』を考えて、好きなCDをかけるなど、限りある病院生活の中で色々と工夫をされていました。
それを見て、ようやくわかったこと。
『患者』は病気をしたから『患者』なのであって、本来は『お父さん』だったり、職場では『部長さん』だったりするんだ、と。
そんな基本的なことにようやく気付いて立てた計画。
〈大好きなお風呂に奥さんと一緒に入る〉
とはいっても病棟のお風呂だから、移動は私が担当し、体を洗う時には、奥様に交代。
ストレッチャーの入浴(寝たまま入ることができるお風呂)ではなく、3人の看護師の介助でなんとか家のお風呂のように浴槽をまたいで入ることができました。
入るなり笑顔になったKさん:「♪春のうら~ら~の隅田川~♪」
奥様:「いつものお父さんの一曲だわ!」
♪途中からその場にいた全員で斉唱♪
『患者』とその『家族』が
『いつものお父さん』と『いつものお母さん』
になることができた瞬間でした。
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